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がん遺伝子治療の主な特徴

がん遺伝子治療センターからのお知らせ

2016年07月28日
当クリニックは7月29日(金)~8月3日(水)まで夏季休暇のため休診とさせていただきます。
2016年05月31日
「ガンの辞典」にCDC6shRNA治療について紹介されました。
2016年02月05日
がん・脳梗塞・心筋梗塞―突然の病から自分を守る、医師が教える予防術というタイトルでITメディアエグゼクティブの会員様に向けて勉強会を行いました。
2015年09月29日
院長ブログを更新しました「がん遺伝子治療の成績」
2015年08月18日
院長ブログを更新しました「スキルス胃がん、腹膜播種でCDC6shRNA治療が奏功しているケース」
2015年07月03日
夏季休診のお知らせ(7月27日~8月1日)
2015年05月20日
院長ブログを更新しました「がん遺伝子治療の意義」
2015年03月10日
2015年3月6日 BS11「経済深々」に阿保院長が出演しました。
2014年10月01日
ホームページをリニューアルいたしました。

遺伝子治療の再来

遺伝子治療には1990年頃から期待と関心が寄せられ、研究者たちは基礎的な生物学と技術の理解を深めてきました。そして、今やより安全で最新の遺伝子治療法を臨床現場で使用できる環境が整いつつあります。ヨーロッパでは2012年に最初の遺伝子治療が承認され、米国でも2016年までには認可が下りる見通しです。また、遺伝子を運ぶベクターとしてはHIV由来のレンチウイルスが最も適していると考えられます。

 多大なる期待を寄せられていた遺伝子治療ですが、ある患者への治療をきっかけに事実上停止していました。1999年、消化器疾患を患っていた10代の患者が遺伝子治療により死亡しました。彼の免疫系が遺伝子治療に対して激しく反応したのです。遺伝子治療が大きく期待されていた中で、この失敗はこの上ない衝撃でした。しかし、医師や研究者たちの努力が続けられたおかげで、2015年の時点では、今度こそ本当に安全で有望な治療法として期待されるようになっています。2004年には中国で頭頸部癌の遺伝子治療が認可され、2012年にはヨーロッパで家族性リポタンパク質リパーゼ欠損症に対する遺伝子治療薬が承認されました。2013年末には米国立衛生研究所が、遺伝子治療の認可を遅らせている規制のいくつかを削除しました。業界の専門家の予測では、遺伝子治療が2016年頃には米国でも承認される見通しです。

 遺伝子治療においては、ターゲット組織に遺伝子を送り込む運び手(ベクター)が非常に重要です。そのベクターとして使われるのがウイルスで、ウイルスの組織に入り込む力を利用します。ベクターとなるウイルスは、その病原性を決める遺伝子が取り除かれてそのスペースに治療で有効となる遺伝子が組み込まれたものです。つまり病原性は除去されています。しかし、そのウイルスの選び方を間違えるとトラブルを起こす原因となるのです。上記の消化器疾患の患者の遺伝子治療に用いられたベクターは、一般的な風邪ウイルス(アデノウイルス)でした。アデノウイルスは動物実験では特に問題がないと判断されていましたが、ヒトではうまくいかないことは多々あります。他にも、X連鎖重症複合型免疫不全症(SCID-X1)と呼ばれる疾患に対して20人の小児患者が遺伝子治療を受けましたがそのうちの5人が白血病を発症し、1人が死亡しました。この時はレトロウイルスでした。ベクターとなるウイルスについて研究者達は真摯に模索を続け、間もなく安全で有効な二つのウイルスに焦点があてられるようになったのです。

 一つはアデノ随伴ウイルス(AAV)、もう一つはレンチウイルスです。ほとんどの人はアデノ随伴ウイルスに何度か感染していますが、このウイルスは病気を引き起こすことはなく、激しい免疫反応を引き起こしません。現在、パーキンソン病、アルツハイマー病、血友病、筋ジストロフィー、心不全、視覚障害に対するアデノ随伴ウイルスによる遺伝治療が評価されています。もう一つ注目されているレンチウイルスは、いわばHIVの一種です。レンチウイルスは容量の多い遺伝子を多く運ぶ能力があり、毒性を持たず、有害な免疫反応も誘発しないため、遺伝子治療においては最高のウイルスベクターと評価しています。

 このサイトで紹介する遺伝子治療(CDC6shRNA治療)は、ベクターとして、レンチウイルスを用いています。この遺伝子治療/CDC6shRNA療法は今まで対応できなかったレベルの末期がん、進行がんに対して治療効果が期待できます。しかし、まだ完全無欠の奇跡の治療とは言えません。これから一つ一つ治療成功例を増やしエビデンスを積み重ねることで、本治療法が癌に対する有望な新しい治療選択肢の一つ、ひいては主要な治療法となることを願っています。

参考:Gene Therapy’s Second Act (SCIENTIFIC AMERICAN March 2014)