がん遺伝子治療について

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がん遺伝子治療について

治療後、腫瘍が崩壊縮小した症例(腫瘍崩壊症候群)−1

※腫瘍崩壊症候群についてはこちら

この患者さんは60代女性で、肝臓に転移のある乳がんでした。

右側の乳腺にソフトボール大の腫瘍が見られ、その表面の皮膚は崩れて血管が露出していました。露出した血管から毎日のように出血があり、有効な治療法がないと診断されたため遺伝子治療を希望して当院を受診したとのこと。
巨大な乳がんと、肝臓への転移も認め病期はステージ4でした。

乳がんのサイズが大き過ぎて局所へ直接注射しても治療薬が全体に広がらない可能性があるため、動脈カテーテルによりがんに栄養を送っている血管の中に遺伝子治療薬を送達する方法を取りました。治療直後は著変がありませんでしたが、治療後1-2か月経過して、乳がんが崩れ落ちるように縮小してしまいました。この患者さんは遺伝子治療の他に何も治療を受けていなかったので、遺伝子治療による劇的な改善例と評価されました。

その後、治療費負担が大きいということでしばらく遺伝子治療を休んでいたところ再び腫瘍(右乳がん)が増大してしまい、再度同様に動脈カテーテルを用いて遺伝子治療薬を送達しました。また、その後1-2か月で腫瘍は劇的に縮小し、何度か治療を繰り返していけばコントロールできるのではないか、うまくいけば、がんを駆逐できるのではないかと期待しましたが、残念ながらこの患者さんは、治療費負担が大きいという理由で遺伝子治療の継続をあきらめ、他の代替医療をその後選択されました。

当院で行っている がん遺伝子治療(CDC6shRNA治療)で用いる製剤は、治療効果を十分得られるように薬剤濃度を定期的に上げてきました。それにより1回の治療あたりの薬剤投与量は実質的には増え続けています。
一方、治療の対象になるのは進行・末期がんで、がん細胞の総量が非常に多い方々なので、治療には大量の治療薬が必要になります。そのため、患者さんが治療をしっかりと継続できるよう、薬剤濃度を上げて総投与量を増やしても、治療費用は増やさないように努力しています。

このようにして薬剤濃度が上がり、その治療効果が高まったことで、劇的に生じた腫瘍崩壊が今回紹介した症例のような重篤な副反応が至ることがあることもわかってきました。
この遺伝子治療に期待が高まる一方で、急激な腫瘍崩壊による副反応の予防策も厳重に行っていかなければいけません。

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