がん遺伝子治療について

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がん遺伝子治療について

がん遺伝子治療にも様々な種類がある

一口に遺伝子治療と言っても、様々な疾患を対象とした多種多様の遺伝子治療があります。また、がんを対象とした遺伝子治療も提供する医療機関や研究施設によっては全く異なります。医療機関が異なっても質的に違いがないことを求められる保険診療ですら、医療機関や担当医師が異なれば同一のものではないことは周知のことかと思います。まして、最先端医療で、かつ自由診療で実施されている遺伝子治療は、それが提供される環境によってはその内容やレベル・治療費負担は全く異なります(高レベルであれば高額ということでもありません)。

ところで「遺伝子治療」とはどのようなものを言うのでしょうか。そもそも「遺伝子」とは何でしょう。遺伝子とは広義では「DNAの塩基配列によりコードされる遺伝情報」、狭義では「タンパク質の原料となるアミノ酸構造に対応するmRNAの情報を持つ染色体内の領域」ですが、分子生物学に通じていなければ何のことなのかよくわかりませんね。

生物が生きていくために様々な生命活動が生体内で行われています。その生命活動は、ホルモン、酵素、サイトカインなどの種々の物質が、適切に働くことにより安定することができます。それらの生命活動を担う物質は殆ど全てが「タンパク」です。
「遺伝子」は「それら様々なタンパクをつくるときに必要な設計図」すなわち「生命活動を司る根源」と表現すれば少しイメージが湧くかもしれません。

そして遺伝子は、両親から継承されるものですが、外界の刺激などで時に突然変異することがあります。この遺伝子の突然変異によって引き起こされる代表的な疾患が「がん」です。

体の中には、がんの発生を促す「がん遺伝子」と、がんの発生を抑える「がん抑制遺伝子」というものがあります。健常時には、それらが適切なバランスで機能していますが、何らかの変異が生じて、がん遺伝子が活発に働き過ぎたり、がん抑制遺伝子が機能低下したりすると、がんが発生してしまいます。

一般的に、がんが発症している患者さんの多くは「がん抑制遺伝子」が機能低下ないしは欠如しているので、これを投与して補おうというのが、ごく一般的な「がん遺伝子治療」です。例えば、P53、P16、PTENなどは代表的ながん抑制遺伝子で、これらを投与することで、がんの活動が抑えられると考えられています。

ただし、がん患者さんに本当にこれらの遺伝子が欠落しているのか? また、これらのがん遺伝子をただ単に投与するだけで狙い通りがんの活動が停止するのか?については、明快な回答がありません。がん抑制遺伝子を投与するのみの「がん遺伝子治療」の薬効薬理はブラックボックスに包まれています。

そもそも、がん細胞はもともと正常な細胞が突然変異してできた悪しき細胞ですが、正常細胞と同様にがんも生命活動をしています。そして、様々なタンパクの活動がその動きを制御しています。がんの悪いふるまいを規定しているタンパクを捉えて、そのタンパクを作る遺伝子を無効にしてしまえば、がんの悪い性質を消せるのではないか?そのような考えのもとに設計された遺伝子治療が、単にがんの抑制遺伝子を投与するだけの従来の遺伝子治療を超えるものとして期待されています。それは、今までの常識では考えられないほど、がん治療において劇的かつ強烈な成果を示す可能性もあります(実際の臨床現場でもそのような症例が増えています)。そのように、治療のターゲットとなるタンパクを同定した次世代のがん遺伝子治療が、がんに特異的に大量に存在しているCDC6タンパク(細胞分裂の際に働くタンパク)を消去する遺伝子治療(CDC6shRNA療法)です。

そして、冒頭の話に戻りますが、このCDC6shRNA療法も、提供する医療機関によっては、その内容が全く異なります。遺伝子製剤の製造法・投与量(濃度)・投与ルート・投与頻度・治療費用など、治療の鍵となる内容が全く異なっています。

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