がん遺伝子治療について

カテゴリー
がん遺伝子治療について

スキルス胃がん 腹膜播種 での著効例

※最近「CDC6shRNA治療」、「CDC6shRNA療法」という療法名で遺伝子治療を実施している医療機関があるようですが、この治療名は2009年に本遺伝子治療を開始し、内容を紹介する書籍を出版する際に命名して外部に発信したものです。治療のkeyとなる薬効部分であるCDC6shRNA(CDC6ショートヘアピンRNA)を私が独断で治療名に用いたもので広く認められている呼び名ではありません。他の医療機関もその名を踏襲して治療を行っているようですが、実際の治療法は各医療機関で異なっています。たとえば、薬剤であるCDC6shRNAの投与経路、投与頻度、治療毎の投与量などは医療機関によってまちまちです。がんのタイプや存在範囲、進行度などに応じて患者さん毎に治療プランは変わります。同じ胃がんでも病変の広がりやステージは患者さん毎で全く異なります。そして実際の治療内容は担当医の臨床経験や臨床の勘で決められます。このような新しい治療は画一的に実施されるものではなく、治療名が同じでも医療機関や担当医が異なれば全く異なる治療内容、治療成果になることを皆さんに注意していただきたいと思います。

今回は スキルス胃がん 腹膜播種 での著効例 (60歳代の女性)をご紹介します。
この女性は1年前に受診しました。当初は卵巣がんと診断され卵巣を切除したが、実際は胃がんからの転移であったとのこと。追加治療として遺伝子治療を希望されました。実際は「スキルス胃がんの腹膜播種、卵巣への遠隔転移」だったところを、胃がんの診断が得られなかったために原発の卵巣がんとして手術が行われてしまったわけです。

切除した卵巣がんに病理組織検査を実施したところ、がんは卵巣から発生したものではなく、消化管原発のがんの転移であることがわかりました。病理組織学的には印環細胞がんというタイプのもので、このタイプはまず胃から発生することがほとんどです。胃内視鏡検査での胃粘膜からは病理組織上がんは確認されていませんでしたが、卵巣がんの組織が印環細胞がん(胃がん特有の組織像)であったこと、印環細胞がんは粘膜下を這うように広がることが多いので粘膜内には病変がないことがほとんどであることから、スキルス胃がんの遠隔転移、腹膜播種と診断し、遺伝子治療を開始しました。
当初3クール実施する予定でしたが、調子が良いのでご本人やご家族の希望で1クールのみで遺伝子治療は終了となりました。
しかし、治療をやめてからこの1年で徐々に症状は悪化、抗がん剤治療を複数回実施したが軽快せず、現在、直腸への転移や腎臓への転移があり、尿の通り道を確保するためのステントが尿管に入っていて、食事もとれず元気がないとのこと。
典型的なスキルス胃がん+腹膜播種の症状が進行した状態となっていました。ご本人ご家族ともに、「遺伝子治療を継続していれば良かった」、とおっしゃられ、今回はしっかりと遺伝子治療を実施することを決められ、前回投与した総投与量の6倍以上を1か月で投与することとしました
すると、遺伝子治療開始後から患者さんの自覚症状は見る見る改善していきました。約1か月半で8回の治療を行いましたが、初回治療の直後から食欲が増し、4回目の治療を始める頃には通常の20%しか食べられなかった食事が80%以上食べられるようになり、かつ快便に戻り、7回目の治療を終わると好きだったビールが飲めるようになるなど、臨床症状は明らかに改善しました。
遺伝子治療を中断してからのこの1年間は、症状は進行の一途だったことから、ご本人とご家族は非常に喜ばれました。
実際、がんの活動性を示す複数の腫瘍マーカーが遺伝子治療を進めるたびに徐々に低下し、治療終了時には全ての腫瘍マーカーが正常値になっておりました。

スキルス胃がん 腹膜播種 での著効例

腫瘍マーカー 来院時→4回終了時→7回終了時
CA19-9(正常値37.0以下)  61.3 → 34.0 → 15.5
DUPAN-2(正常値150以下)  334 → 290 → 129
Span1(正常値30.0以下)   59.5 → 39.8 → 25.7  (異常値を赤で表示

コメント

コメントはまだありません。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ページの先頭へ