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CDC6タンパク

「CDC6タンパク」は細胞の増殖を調節する因子の一つで、本来なら細胞分裂周期の一時期にしか現れません。

CDC6タンパクは、正常細胞内では静止期(G1期)のみに存在し、一度合成されるだけです。静止期(G1期)のあとの合成期(S期)、第2静止期(G2期)、分裂期(M期)には存在しません。しかし、がん細胞では細胞周期のすべてのステージにCDC6タンパクが豊富に存在しています。そして、そのことによって、がん細胞が「自己増殖シグナル」を出し続け、「無限増殖」すると考えられています。

例えるならば、CDC6タンパクはがん細胞の増殖を加速させるアクセルの役割を果しているといえます。さらにもう一つ、CDC6タンパクは、細胞増殖を抑制する因子を不活化させる機能も持っています。つまり、ブレーキを効かなくさせてしまうわけです。

この二つの作用によって、がん細胞の常軌を逸した増殖が発生するのです。

cdc6

  • 補足

CDC6タンパクはプロトオンコジーン(がん原遺伝子活性)を示すことが分かっています。CDC6タンパクの過剰発現により、INK4/ARF遺伝子座(3つの強力ながん抑制遺伝子であるP16INK4aP19ARFP15INK4bをコードする遺伝子群Cdkn2a-Cdkn2bによって構成され、これらのがん抑制遺伝子群は基本的には分化後の細胞に発現する)におけるクロマチンのエピジェネティック(後天的に決定される遺伝的な仕組み)上の変化を介して、INK4/ARFがん抑制遺伝子の発現が抑制されます。さらに、細胞周期(G1/S/G2/M期)の初期(G1期)におけるCDC6タンパクの過剰発現は、DNAの過剰複製を促進し、がん遺伝子活性化を誘発することもわかっています。これらの事実は、ヒトの細胞においてCDC6タンパク発現の調節が崩れることにより、発がんが誘発されるリスクが相当に大きくなることを示しています。

CDC6タンパクの過剰発現は、殆ど全てのがんにおいて確認されていますが、特に発現量が多いのが、頭頸部がん、カルチノイド、睾丸がん、膵臓がん、乳がん、尿路系がん、甲状腺がん、肝臓がん、悪性黒色腫などの皮膚がんです。また、肺がん、胃がん、大腸がんも半数以上のものにCDC6タンパクの豊富な発生が確認されます。そして、胃がんの中でも、20歳代の若い方が発症することがあり、進行が早く重症例が多いスキルス胃がんは、特にCDC6タンパクが豊富に発生することが分かっています。このように、CDC6タンパクの発現量の多いがんほど、CDC6タンパクをknock down(消去)することが期待できるCDC6shRNA療法により大きな治療効果が得られると考えられます。

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