がん遺伝子治療-その限界と期待

がん遺伝子治療-その限界と期待 MESSAGE

■がん遺伝子治療は「奇跡の治療」?


近年、新たながんの治療法として、遺伝子治療への期待が高まっています。
しかし、遺伝子治療は決して奇跡の治療ではありません。
遺伝子治療をもってしても、進行がんや末期がんを完治させることは、残念ながらまだ容易ではありません。

にもかかわらず、治療効果に過度の期待を抱かせる情報が目につきます。
患者様を惑わせるような情報が流布している現在の状況を、私たちは大変危惧しています。

遺伝子治療は、生命現象の根幹に直接作用する治療です。そのため、安全性や治療効果の点で大変期待される治療法ですが、完全無欠な治療法ではなく、がん治療においては救命を確実に保証するものではありません。また、保険適用ではないため治療費が相応に高額となります。
そのような状況で、標準医療を否定したり、過度な期待を抱かせる情報があることを憂慮しています。

私たちは、がん遺伝子治療を2009年から提供し続けてきた立場として、がん遺伝子治療に関する正確な情報を提供すること、がんの克服を目指す方々に現時点でベストの医療サービスを提供することが大切であると、ここ最近改めて感じています。



■がん遺伝子治療に期待できること


過度な期待を抱かせる情報には注意が必要な一方で、遺伝子治療がこれからのがん治療の中で重要な位置づけとなることは明らかだと考えます。
なぜなら、がん遺伝子治療(当院で実施しているCDC6 RNAi療法)は、治療による体へのダメージが少なく、副作用が極めて小さい治療法だからです。そして、遺伝子レベルでがん細胞をコントロールするよう設計された、画期的な治療法だからです。

現時点では、手術後の再発予防としての治療や、標準治療では治療法がない進行がんなどに対する補完医療として提供しており、一定以上の治療効果が得られています。

奇跡の治療とは言えませんが、がんを根本的にコントロールできる可能性が、遺伝子治療にはあります。

実際にがん遺伝子治療が治療効果を認めたものとして、胃がん、スキルス胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、膵臓がん、胆管がん、子宮がん、卵巣がん、前立腺がん、膀胱がん、肺転移、肝転移、転移性脳腫瘍、悪性組織球症、咽頭がん、頭蓋咽頭腫など、多数の悪性疾患が挙げられます。



■遺伝子治療に対する当院のスタンス


当院が遺伝子治療に取り組むことになった背景をお話させてください。

そもそも当院では、現在提供しているがん遺伝子治療を手放しで受け入れていたわけではありません。むしろ、大規模な無作為臨床試験が行われていない未認可の治療の導入について、慎重な立場を取っていました。

その当院で2009年に遺伝子治療を導入することになったきかっけは、国外で既にこの遺伝子治療を受けていた複数の患者様が、日本国内での治療の継続を切望し、懇願してきたことでした。

日本では、標準治療が尽きると、治療を進めるにしても治験(未認可薬の有効性や安全性を確認するための臨床試験)に参加する選択肢しかなく、それをしなければ治療をせずに緩和ケアに期待することになります。これはある意味、国民皆保険システムの限界だと言えます(海外では臨床現場で提供されている先端の治療であっても、日本で保険診療として認可されていないものは、標準治療を提供している医療機関では、並行して行うことができないルールがあるのです)。

遺伝子治療が、標準治療で対応できないレベルの患者様達を治療できるだけの有効性があるのか。安全性に問題はないのか。最初は慎重な立場を取り、遺伝子治療の提供をすぐに行うことはしませんでした。その後、治療薬の開発者たちと直接十分な情報交換を行ったところ、患者様に治療を行うに値すると評価ができたこと、背景となる論文や基礎試験の結果についても治療の安全性と有効性を示すものとして評価し得ると判断し、遺伝子治療の導入を決断しました。

遺伝子治療の導入から約10年。標準治療では改善できない病状から回復し、その後も健康を維持している方が何人もいらっしゃいます。これらの治療経験から、標準治療では根治が望めない病期のがんに対しても治療を希求する患者様に応える、これからの医療の一つに「がん遺伝子治療」があると考えています。一方で、末期がんの中でも最終段階に至ってしまった(多臓器不全をきたした)患者様を回復させることは、残念ながら実現できていません。

いまだ克服できない疾患である「がん」に直面している私達たち医師の重要な使命の一つは、有効な治療を開拓し続け、患者さんと最後様までがんの克服を目指すことであると思います。進行がんの患者様でも、生活の質を落とさずに、尊厳を保っていける。そのようながん治療を目指して、これからも治療の改良を続け、正しい情報の普及に努めたいと考えています。

~当院での治療を希望される方へ~
診察・カウンセリングについて

470

北青山Dクリニックでは、初診の際には1時間ほどカウンセリングの時間をいただき、充分かつ正確な説明を行ってから治療を行います。
がん治療においては患者様だけではなく、そのご家族や関係の強い方々のご協力が必要不可欠なので、カウンセリングには患者様とそのご親族の方々など一緒にお出でいただくのが望ましいですが、患者さんのみ、ご家族のみでも初診を承ります。
どうぞ、お気軽にご相談ください。


北青山Dクリニック 院長 阿保義久

ページの先頭へ